クロスボーン・バンガードの量産型モビルスーツ
クロスボーン・バンガードの精鋭部隊「ブラックバンガード」が使用したデナン・ゾンで、他の機体と一目で識別できるように全身が黒で塗装されている。通常のデナン・ゾンと同じくデュアルビームガンやショットランサー、ビームサーベル等で武装していてビームシールドも装備していた。コスモ・バビロニア建国戦争で運用されたが、エリートパイロットによって操縦されていたため通常のデナン・ゾンよりも能力が高かったと思われる。
クロスボーン・バンガードの試作モビルアーマー
ラフレシアはカロッゾ・ロナ(鉄仮面)が主導して推進された余剰人口削減計画「ラフレシア・プロジェクト」のもと、プロジェクトを実現するための中核兵器として開発された。
ラフレシアという名前からも想像できるように本機は大きな花に似た形をしていて、五枚の花弁のように見える部分と花の中心軸の部分(花柄=かへい)で構成されている。花弁の部分にはテンタクラー・ロッド(触手のように細くて長い、ビーム砲と電気丸のこっぽいものが付いた凶悪な武器)をそれぞれ25本ずつ装備しており、そのテンタクラー・ロッドを自由自在に操ることで近づく敵を撃破した。
花弁の部分が5個あるので合計125本のテンタクラー・ロッドが搭載されていることになるが、その多量の武器をネオ・サイコミュで制御することで同時に使用することができる。ネオ・サイコミュは手足を使わずに思考だけで機体のすべてをコントロールできる優れた制御システムで、実際コックピットに座るカロッゾ・ロナ(鉄仮面)の頭からはたくさんのケーブルが伸び出ていた。そのコックピットは花の中央部分にあり半球状の透明なキャノピーで覆われているだけなので、防御的に問題がありそうに見えるが、Iフィールドジェネレーターが搭載されていることと多数のテンタクラー・ロッドによる圧倒的な近接戦闘力によって、コックピット自体の防御力は考慮しなくてもよかったのかもしれない。
巨大な機体には40基に達する巨大バーニアが搭載されていて基本的な機動力が高いほか、花弁の部分をたたむことによってバーニアのベクトルを一方向に集中させ高速で移動することができた。
クロスボーン・バンガードがフロンティアⅠを襲ったとき「ラフレシア・プロジェクト」の邪魔をする娘のベラ・ロナをみてカロッゾ(鉄仮面)はラフレシアで出撃する。ラフレシアは連邦軍の月からの援軍を一瞬で壊滅させてその圧倒的な力を見せつけたほか、ベラ・ロナのビギナ・ギナを戦闘不能に追い込むなど鬼神のごとき活躍を見せるが、最終的にシーブック・アノーのガンダムF91の尋常ではない動きの前に敗れ去った。
地球連邦軍の練習艦
クラップ級巡洋艦をベースに改修された船でモビルスーツの小型化にともない船も小型化されている。連邦軍によって練習艦として運用されているが、メガ粒子砲を4門搭載しモビルスーツ射出用カタパルトも備えているので実戦にも対応できる実力を持っていた。
本艦はフロンティアサイドのフロンティアⅠコロニーに寄港していた時コスモ・バビロニア建国戦争に遭遇するが、ガンダムF91の母艦としてクロスボーン・バンガードの精鋭部隊と戦い獅子奮迅の活躍をみせた。しかし、地球連邦政府の本格的な支援がない状況の中、フロンティアサイドからの脱出を余儀なくされ、フロンティアⅠの難民を乗せて戦域を離脱した。
艦を指揮していたのはレアリー・エドベリ中尉で、彼女は民間人の子供を含むクルーをうまくまとめあげ、船を守ったうえに敵に大きな損害を与えることに成功している。
地球連邦軍の試作モビルスーツ
本機はサナリィの「フォーミュラ計画」に基づいて開発された小型モビルスーツで、先だって生産されたガンダムF90と同じをF9シリーズに分類される。
サナリィはそれまでに培った技術をすべてこの機体につぎ込み史上最高のモビルスーツを作ろうと考えており、装甲材と電装を合体させたMCA(マルチプル・コンストラクション・アーマー)構造や、サイコミュのような機能を持つバイオコンピューター等の新技術を惜しげもなく採用することで、機体の小型化や機体追従性の大幅な向上を実現した。
また、攻撃力も非常に強力なものになっていてヴェスバーと呼ばれる大出力のビーム砲を2門背中に搭載し、その砲身を脇の下から回り込ませて前方の敵を薙ぎ払うことができた。ヴェスバーの他にもビームライフル、ビームランチャー、メガマシンキャノン、バルカン砲、ビームサーベルなど、数多くの武器を携帯し凄まじい火力を誇っており、サナリィの当初の目的であった「史上最高のモビルスーツの製造」はここに達成されたと言える。
カラーリングはガンダムらしく白をベースにしたものになっていて、とてもさわやかな印象を与えてくる。そのほかの見た目からは、胸の部分がラジエーターのようなヒダ状になっていることや、肩の部分に蛾の触角のように見える放熱フィンがくっついていること等から、この機体にとって冷却系システムがいかに重要だったのかが推測できる。
ガンダムF91はコスモ・バビロニア建国戦争時にクロスボーン・バンガードからスペースコロニー「フロンティアⅠ」を守るため戦線に投入される。パイロットは一般人の高校生シーブック・アノーが担当し、ほぼ素人なのに数多くの敵機を撃ち落としたほかモビルアーマー「ラフレシア」を撃破して「ラフレシア・プロジェクト」を消滅させるなど信じられないほどの大活躍を見せた。しかし、ラフレシアを落としカロッゾ・ロナを戦死させたものの、クロスボーン・バンガードの猛攻から「フロンティアⅠ」を守りきることはかなわず仲間と共にコロニーから撤退した。
シーブックというほとんど訓練を受けていない素人パイロットが操縦していたにもかかわらず、ガンダムF91が信じられない能力を発揮できた要因は、F91の性能が他を凌駕する圧倒的なものだったという事実の他に、F91のバイオコンピューターの開発者がシーブックの母親だったからということもあるかもしれない。
クロスボーン・バンガードの宇宙戦艦
クロスボーン・バンガードの旗艦として建造された船でコスモ・バビロニア建国戦争時のクロスボーン・バンガードの中で最も優れた軍艦。ザムス・ガルはメガ粒子砲を10門、副砲を4門、機関砲12門を装備しており圧倒的な攻撃力を持っていた。また、モビルスーツ射出用のカタパルトを4本備えていてモビルスーツ運用能力も圧倒的に高い。
本艦は艦首部分の「ガル・ブラウ」とザムス・ガル本体、および船の左右にあるモビルスーツデッキの4ブロックで構成されていて、それぞれを分離することができる。切り離した「ガル・ブラウ」から無人ロボット兵器の「バグ」をコントロールできることや、船の下部に巨大モビルアーマー「ラフレシア」を搭載できることなどから、この船は「ラフレシア・プロジェクト」に基づいて設計、建造された可能性が高い。
クロスボーン・バンガードの宇宙戦艦
クロスボーン・バンガード艦隊では旗艦ザムス・ガルに次ぐ火力を持ち、艦隊戦でその威力を発揮したが、モビルスーツ運用能力は巡洋艦のザムス・ジェスよりも低い。艦橋の前部に4門、艦橋後部の左右に4門、合計8門のメガ粒子砲を装備するほか、その他機関砲等の火砲も充実している。艦首にモビルスーツ射出用のカタパルトを1本備えていてモビルスーツを運用する能力も持っていた。
クロスボーン・バンガードの宇宙巡洋艦
ザムス・ジェスはクロスボーン・バンガード艦隊の主力として建造され、クロスボーン・バンガードが引き起こしたコスモ・バビロニア建国戦争で使用された。
本艦の火力はメガ粒子砲が4門あるだけで連邦軍の代表的な巡洋艦「クラップ級」と同じレベルであるが、艦体の前と後ろにモビルスーツ射出用のカタパルトを合計2本設置することによってモビルスーツ運用能力を高めており、総合的な戦闘力はクラップ級を凌ぐものだったと思われる。船のカラーリングは他のクロスボーン・バンガード艦艇と同じく紫がかったグレーで塗装されていてとても渋い。
クロスボーン・バンガードの宇宙駆逐艦
駆逐艦ということもあり非常に小さい船でその小ささからはかわいらしさを感じるほど。そのずんぐりとした艦体にメガ粒子砲を4門備えていて一定の火力を確保している他、少数ながらモビルスーツの運用もできた。
クロスボーン・バンガードの戦力としてコスモ・バビロニア建国戦争に投入され、味方の巡洋艦や戦艦と共にフロンティアサイドの制圧に貢献した。
クロスボーン・バンガードの試作モビルスーツ
本機は指揮官用に開発された高性能モビルスーツでベラ・ロナ(セシリー・フェアチャイルド)の専用機。背中に設置された8個の可動式フィンノズルが特徴的で、それぞれのノズルを個別に動かすことで自由自在に空間を移動することができた。この可動式フィン・ノズルは非常に巨大でそれぞれが長く、ノズルを左右に広げたその姿はまるで翼をひろげた鳥のように見えなくもない。ビギナ・ギナはこの新型の可動式フィンノズルによってそれまでのモビルスーツよりも機動力が格段に向上していて、クロスボーン・バンガードの機体の中でも最高レベルの性能を誇っていた。
機体色は白っぽいグレー(銀色?)をベースにしていて、紫色がところどころに使われており全体的に上品な感じがする。ロナ家の貴女であるベラ・ロナのイメージに合わせたのかもしれない。また、クロスボーン・バンガードのモビルスーツは丸い形をしたツインアイを採用していることが多く無骨なイメージのものが多いが、ビギナ・ギナは丸いツインアイを採用せずカッコいいデザインのメインカメラを使用していたり、背中のフィン・ノズルが美しいことなどからさらに輪をかけて上品で高貴な印象を与えてくる。
コスモ・バビロニア建国戦争時、ベラ・ロナ(セシリー・フェアチャイルド)は本機に乗りクロスボーン・バンガードのフロンティアⅠ制圧作戦に参加するが、ガンダムF91と戦う中でF91のパイロットがシーブック・アノーだということを知る。戦っている相手が友達のシーブックだと知ったベラ・ロナ(セシリー・フェアチャイルド)は、クロスボーン・バンガードから離脱し彼と一緒に行動することを決意、ビギナ・ギナと共に連邦軍に降った。
連邦軍の所属機となったビギナ・ギナはその後ベラ・ロナ(セシリー・フェアチャイルド)と共にベラの父カロッゾ・ロナ(鉄仮面)のラフレシアと戦うことになるが、ラフレシアの圧倒的な戦闘力の前に敗北し大破してしまう。ベラ・ロナ(セシリー・フェアチャイルド)自身はカロッゾ・ロナ(鉄仮面)によってビギナ・ギナのコックピットから引きずり出され宇宙空間で漂流することになったが、後にシーブックとガンダムF91に救助されている。
クロスボーン・バンガードの量産型モビルスーツ
偵察や情報収集を主任務とする機体。単機で広範囲の偵察が可能だが、同じ偵察機のエビル・Sと連携することでさらに情報収集能力を拡大させることができる。本機はエビル・Sの情報収集システムとリンクすることが可能で、リンクによって得た情報を統合し分析する能力を持っていた。
偵察機ではあるが、機体の各部に設置されたスラスターによって発生する推力は非常に強力であり、その力はデナンシリーズは元よりベルガシリーズをも上回っている。その高い推力によって迅速に調査対象の戦域に移動することができるほか、敵機に発見されても素早くその場から離脱することができた。おなかにある3連拡散ビーム砲やビームライフル、ビームサーベルで武装していて攻撃力も高い。
コスモ・バビロニア建国戦争でクロスボーン・バンガードが使用したが、その中の1機、アンナマリー・ブルージュが乗った機体は彼女が投降したため地球連邦軍の手に渡っている。