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ZMT-S29S ザンネック

ザンスカール帝国軍「ベスパ」の試作モビルスーツ

全高19メートルを超える大型のモビルスーツで、ザンネックキャノンと呼ばれる大型のビーム砲を持ち長距離からの攻撃が得意。大型キャノンに裏打ちされたザンネックの圧倒的な破壊力は、本機を「ミニカイラスギリー」と呼ばせるほどのものであった。

両肩には三日月状の粒子加速器を備え、その加速器によって生み出された力をザンネックキャノンに送り込み、凄まじい威力のビームを敵に放出した。粒子加速器を動かしているときは、両肩の三日月の部分から輪っか状になった光が放たれるので、遠目から見ると二つの大きな光の輪だけが見えることになる。三日月状の部分は加速器としてだけではなく小型のビーム砲としても使用できるので、敵との接近戦になったときには三日月部分からビームを放ち敵を迎撃することもできた。
長距離攻撃が得意な機体だが、ザンネックキャノンの他に、胸部のミサイルランチャー、ビームサーベル、ビームシールドで武装していて近接戦闘にも十分対応できる。

移動するときは円盤状のサブフライトシステム「ザンネックベース」に乗ることで高速で移動することが可能だったほか、宇宙から大気圏内に降下し再び宇宙に上昇することさえできた。

見た目は重モビルスーツだけあってドッシリとした安定感があり、その安定感のある機体に長尺のザンネックキャノンを持った姿は非常に頼もしく、かつ、カッコいい。烏帽子(えぼし)と呼ばれる帽子をかぶったような頭をしていて公家っぽい面もあるので気品にも満ちてもいる。

このザンネックには、宇宙漂流の刑に処せられ死亡したとみられていたファラ・グリフォンが乗機する。制御系にサイコミュ技術を使用していた本機は、彼女の感応波を読みとり機体をコントロールしていたため、機体追従性能や狙撃性能が非常に優れていた。ファラのニュータイプ能力が、ザンネックの力を最大に引き出したときは、戦場から遠く離れた超長距離からでも敵を正確に識別し狙撃することが可能なくらいだった。
しかし、ニュータイプであったウッソやシャクティ、カルルマン(赤ちゃん)には彼女が近づくと鈴の音が聞こえてしまったため、ニュータイプに対しては隠密作戦をとることは難しかった。
 
 

ガンダムウォー 宿命の螺旋 ザンネック R

 

U.C.0153年6月8日 ザンネックがラゲーン基地を空襲

宇宙世紀 0153年6月8日

地球連邦とザンスカール帝国が締結した停戦協定の発効により、ベスパが占領していたラゲーン基地は武装解除され再び連邦軍の下へ返された。再び宇宙に上がろうとしていたリガ・ミリティアの主力部隊は、そのラゲーン基地で補給や整備を行っていたのだが、その最中に空からの攻撃を受ける。

空からの攻撃は非常に強力なビーム砲による砲撃で、それを行ったのはザンネックと呼ばれるベスパの新型モビルスーツだった。ザンネックは超高空の成層圏から、ザンネックキャノンと呼ばれる強力なビーム砲でリーンホースJr.を狙い撃ちし、リガ・ミリティアとラゲーン基地を混乱におとしいれる。
ホワイトアーク隊はブースターを利用して成層圏まで上昇し迎撃を試みるが、V2を含むホワイトアーク隊すべてのモビルスーツをもってしても、圧倒的な攻撃力と機動力を持つザンネックを落とすことはできなかった。
ザンネックはホワイトアーク隊をあしらった後、彼らを誘うようにそのまま宇宙へ上がったため攻撃は止み、窮地に陥っていたリーンホースJr.はなんとか事なきを得ることができた。

ザンネックの奇襲を受けた上にベスパの新たな動きを察知したリガ・ミリティアは、予定より早く宇宙に上がることを決意し、間を置かずに宇宙へと進出する。ザンネックの空襲の前に、つかの間の休息をカサレリアで過ごしたウッソ達は、そこでウッソの母やオリファーのお墓をつくって手厚く葬っていたが、感傷に浸る間もなく、すぐに地球を離れ宇宙を戦場として戦うことになるのだった。

【参考文献: 『 総解説 ガンダム事典 Ver.1.5 』 講談社(KCデラックス)】

 
 

 
 

ガンダムウォー 宿命の螺旋 ザンネック R

ラゲーン基地とリーンホースJr.を砲撃したザンネック。ザンネックが近づいている間、ウッソやシャクティ、カルルマン(赤ちゃん)などのニュータイプには鈴の音が聞こえていた。