ザンスカール帝国軍「ベスパ」の試作モビルスーツ
全高19メートルを超える大型のモビルスーツで、ザンネックキャノンと呼ばれる大型のビーム砲を持ち長距離からの攻撃が得意。大型キャノンに裏打ちされたザンネックの圧倒的な破壊力は、本機を「ミニカイラスギリー」と呼ばせるほどのものであった。
両肩には三日月状の粒子加速器を備え、その加速器によって生み出された力をザンネックキャノンに送り込み、凄まじい威力のビームを敵に放出した。粒子加速器を動かしているときは、両肩の三日月の部分から輪っか状になった光が放たれるので、遠目から見ると二つの大きな光の輪だけが見えることになる。三日月状の部分は加速器としてだけではなく小型のビーム砲としても使用できるので、敵との接近戦になったときには三日月部分からビームを放ち敵を迎撃することもできた。
長距離攻撃が得意な機体だが、ザンネックキャノンの他に、胸部のミサイルランチャー、ビームサーベル、ビームシールドで武装していて近接戦闘にも十分対応できる。
移動するときは円盤状のサブフライトシステム「ザンネックベース」に乗ることで高速で移動することが可能だったほか、宇宙から大気圏内に降下し再び宇宙に上昇することさえできた。
見た目は重モビルスーツだけあってドッシリとした安定感があり、その安定感のある機体に長尺のザンネックキャノンを持った姿は非常に頼もしく、かつ、カッコいい。烏帽子(えぼし)と呼ばれる帽子をかぶったような頭をしていて公家っぽい面もあるので気品にも満ちてもいる。
このザンネックには、宇宙漂流の刑に処せられ死亡したとみられていたファラ・グリフォンが乗機する。制御系にサイコミュ技術を使用していた本機は、彼女の感応波を読みとり機体をコントロールしていたため、機体追従性能や狙撃性能が非常に優れていた。ファラのニュータイプ能力が、ザンネックの力を最大に引き出したときは、戦場から遠く離れた超長距離からでも敵を正確に識別し狙撃することが可能なくらいだった。
しかし、ニュータイプであったウッソやシャクティ、カルルマン(赤ちゃん)には彼女が近づくと鈴の音が聞こえてしまったため、ニュータイプに対しては隠密作戦をとることは難しかった。